【考察あり】新型木材ボイラーを導入しました

2016/10/25

毎度おおきに、湖東フラワーです。
当園の温室加温装置として使用している木材焚きのバイオマスボイラーを、新型のものに更新しました。
湖東フラワー独自のカスタマイズを施したモデルで、世界にひとつだけのボイラーです。
これで、より効率的に温室加温ができるようになりました。

鈴木暖房様、ありがとうございました。

当園では、温室の加温に2種類のボイラーを使っております。
ひとつは一般的な加温装置である「重油利用型ボイラー」。
そしてもうひとつが今回更新した「木材焚きボイラー」です。
この2つを組み合わせて温室を加温し、従来比で重油使用量の8割以上カットを実現しています。
人にも地球にも優しい、それが湖東フラワーです。

木材焚きボイラーは、数年前の重油価格高騰を受けて再注目されました。
最高騰時には当園規模でひと冬1000万円くらい重油代に消えるわけですから、そりゃ注目もされますね。
しかし、以下の制約がありそれほど普及が進んでいないのが現状です。

1.木材を安定して供給できないとダメ
2.開けた周囲環境が無いとダメ
3.木材を投入する手間を惜しまない人じゃないとダメ

1は資材の安定確保、2は資材を保管する場所、3は投入時の手間です。
この中で、私が思う一番の障壁は3です。
木材焚きボイラーは、自身の手で木材をボイラーにこまめに投入する必要がある、非常に手間のかかる設備です。
これまで多くの生産者さんが当園の設備を見学に来られましたが、ほとんどの方が3を理由に導入を断念されています。
親を引き継いだ2代目の若社長が皆さん揃って「こんな大変な思いをするなら重油でいい。」と仰られます。
…言われた側は少し複雑な気持ちですが、きっと素直なご意見なんだと思います。

こういった流れもあり、マイナーなこの木材焚きボイラーは30数年間ほとんど進化していません。
私が生まれる前から変わってないという話を聞いた時は、本当に驚きました。

今年の夏頃、これまで使っていた木材焚きボイラーに修復が難しい故障箇所が見つかったので、この際に更新することになりました。
とはいえ、これまで通りの(原始的な)やり方は何かイヤで、見学に来られた2代目若社長の皆さんと同じ気持ちを持っていました。
何とかしたいな~と思いながら作ってもらったのが今回のボイラーです。

主な改善点は以下の通りですが、先述の3に対してインパクトのある改善を施しました。

・容量の増加(約1.6倍)
→一度に放り込める木材量が増えるので、長時間燃えてくれます。
結果、投入コストの低減が期待できます。
・内部の熱循環効率の向上
→木酢液(木を燃やす時に発生する酸性の樹液)による内部腐食を低減します。
結果、耐用年数の延長が期待できます。
・フォークリフトを使って、一気に木を投入できるようにした
→原始的な作業からの脱却を目指します。
なんか近代的じゃないですか?(笑

フォークリフトとかそういう文明の利器があるのに、なんで今時手作業なのよ?というのが本音です。
一気に投入できれば所要時間も少なくて済みますし、結果的に事業コストの低減が期待できます。
導入に関しても、これまでと同じ型番のものを更新する場合とさほど違わない金額で導入できました。
コレは良い投資だったと満足しています。

日本は山が多く、多くの間伐材や端材が有効活用されずに廃棄されます。
せっかくそういった資源があるのだから、使わないと勿体無いですね。
今回の取り組みで少しでも環境に優しい農業ができれば良いなと思うばかりです。

余談ですが、当園のある滋賀県東近江市は、持続型社会のモデル都市として注目されています。
※県内の資源を使って事業を行い、ヒト・モノ・カネを循環させる社会のことです。

もちろん、今回の活動もこの一環として注目されています。
単なる農家ではなく、社会に価値を生み出せる事業を進めていければ面白いなと思っています。